よみどき 今読む理由で、本を選ぶ

2026年夏

「2026年夏」に合う本9冊と選書棚2件を紹介します。 今の気分や使える時間に合う一冊を、よみどきから探せます。

5冊の棚

第175回 直木賞 候補作

朝倉かすみ『けんぐゎい』を含む、2026年上半期の候補5作

2026年7月15日に発表された第175回直木三十五賞の候補作5作を並べました。受賞作は朝倉かすみ『けんぐゎい』。女性たちの時代小説から、全盲の国学者を描く歴史小説、結婚と台所をめぐる連作、アメフトに懸ける青春小説まで、物語の広がりを読み比べられる棚です。

5冊の棚

第175回 芥川賞 候補作

小砂川チト『ゾンビ回収婦』を含む、2026年上半期の候補5作

2026年7月15日に発表された第175回芥川龍之介賞の候補作5作を並べました。受賞作は小砂川チト『ゾンビ回収婦』。AI時代の労働、身体と記憶、中国の都市開発、日常の小さな決断、善意が生む息苦しさまで、いまの純文学が捉える主題を読み比べられる棚です。

見えるか保己一

見えるか保己一 / 蝉谷 めぐ実

見えない学者と、見える人々。そのすれ違いから偉業を読み直す。

全盲の国学者・塙保己一を、偉人の成功談だけでなく、妻や学者仲間、弟子との関係から描きます。類いまれな記憶力と『群書類従』編纂の大事業、その裏側の孤独を立体的に読みたいときに向きます。

腰を据えて読みたい 関心がある人向け 編集メモ: 候補として強い

ゾンビ回収婦

ゾンビ回収婦 / 小砂川 チト

AIに仕事を奪われたあと、仮想世界で「役割」を拾い直す。

殺されたゾンビの骸を回収する仕事という強い設定から、評価されない労働や、期待された役割を引き受け続ける感覚へ踏み込みます。AIと仕事の変化が身近になった今、現実と仮想の境目を通して働く意味を考えたいときの一冊です。

週末や余裕のある日に 読み始めやすい 編集メモ: 優先的に紹介

丹心/まごころ

丹心/まごころ / 仁科 斂

廃墟を美術館に変える計画から、中国の現在を見渡す。

建築家の助手が住民の立ち退きに奔走するなか、資本、芸術、生活の欲望がぶつかります。複数の言語と文化が交わる場所で「まごころ」が何を意味するのか、都市の変化と一緒に考えられる小説です。

週末や余裕のある日に 読み始めやすい 編集メモ: 候補として強い

青天

青天 / 若林 正恭

ぶつかることでしか確かめられない自分を、もう一度フィールドへ。

高校最後の大会で敗れ、受験にも不良にもなりきれない青年が、再びアメフトと向き合います。競技経験を土台に、身体をぶつける怖さと喜び、進路が見えない時期の停滞を描く青春小説です。

週末や余裕のある日に 関心がある人向け 編集メモ: 優先的に紹介

#台所のあるところ

#台所のあるところ / 原田 ひ香

冷蔵庫や鍋のある場所から、誰かと生きる毎日を見つめ直す。

六つの台所を舞台に、世代も境遇も異なる女性たちの暮らしがつながります。食べることと家族を支えること、自分を後回しにしないことを、身近な道具から読み直せる連作小説です。

週末や余裕のある日に 関心がある人向け 編集メモ: 優先的に紹介

ソリティアおじさんがいた頃

ソリティアおじさんがいた頃 / 村司 侑

元同僚の訃報が、動かなかった日常に次の一手をつくる。

京都の味噌会社で働く女性が、かつての同僚の死をきっかけに、続けてきた仕事と恋人との関係を見つめ直します。大事件ではなく小さな決断が人生の向きを変える物語なので、立ち止まった感覚があるときに読みやすい一冊です。

平日夜でも読めそう 読み始めやすい 編集メモ: 優先的に紹介

悪い血

悪い血 / 鈴木 涼美

身体から抜き取られた血が、選ばなかった過去を呼び戻す。

採取された血を取り戻しに病院へ向かうという行動を軸に、主人公が選択を避けてきた過去と向き合います。身体と記憶、罪悪感が近い距離で重なるため、短い小説を濃く読みたい夜に向きます。

平日夜でも読めそう 読み始めやすい 編集メモ: 候補として強い

アンチ・グッドモーニング

アンチ・グッドモーニング / 八木 詠美

「よく生きよう」という善意が、眠れない夜を増やしていく。

職場のチャット、ウェルビーイング施策、丁寧な暮らし。良さそうな言葉が逃げ場のない圧力に変わる感覚を、不眠の会社員の視点から描きます。通知や自己改善に疲れたとき、何から距離を取るべきか考える入口になります。

週末や余裕のある日に 読み始めやすい 編集メモ: 優先的に紹介

けんぐゎい

けんぐゎい / 朝倉 かすみ

世間の「圏外」に追いやられた女たちが、生きる場所をつくる。

江戸時代を舞台に、容姿や身分、性を理由に周縁へ押し出された女性たちが出会います。誰かに定められた価値から離れ、自分の生を取り戻す過程を読む時代小説として、受賞を機に手に取りたい一冊です。

腰を据えて読みたい 関心がある人向け 編集メモ: 候補として強い